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2015年11月18日

片岡義男『文房具を買いに』

伝統的な黒いノートブックがひとたびヨーロッパの市場から消えて、その後「MOLESKINE」として復刻された経緯を目撃している日本人がいます。エッセイストの片岡義男さんです。片岡さんは著書『文房具を買いに』(2003年、東京書籍)の中で、愛用している「モールスキン」のことを話しています。

Yoshio_Kataoka

一九八〇年代の初めに、外国で見て気にいり、三十冊ほど買ったのがこのモールスキンとのつきあいの始まりだった。けっして使わないわけではないけれど、縦横に使いこなしているわけでもないという、明らかに中途半端なつきあいだ。それから数年後にはどこでも見かけなくなった。そしてごく最近、イタリーで復活した。能書きを各国語で綴った紙がはさんである。それによると、一九八六年に製造が中止されたということだ。」(p2)

手帳サイズのモールスキンは、身につけてどこへでも持っていけるものであるがゆえに、ほとんどいつも身につけていないと、なんでも帳として意味をなさないのではないか。その日の自分の行動、会った人たち、交わした会話のなかみ、街で見かけたもの、書きとめておきたい電話番号など、そのときその場からほんの少しだけうしろへずれた、ちょっとした時間のなかで、わが身のどこかから取り出したモールスキンのページを繰り、五ミリ方眼のページに愛用のボールペンで書き込むのだ。ボールペンは短いものが似合うと僕は思う。」(p3)

「モールスキンの手帳ノートブックは百九十ニページだ。ひと月で一冊を使いきるとして、一日分として平均して六ページのスペースを割り当てることができる。そしてひと月のうち半分ほどは、一日分を七ページにすることが可能だ。単純に日割りするとそうなる。日ごとに変化はあっていい。ただし、ひと月に一冊というペースは、守りたいと思う。一冊を二年も三年も使うようでは、この手帳の良さを生かしきることができないはずだから。一年で十二冊。十二冊の黒い表紙のモールスキンのページに、自分の筆跡でびっしりと書き込まれたさまざまな事柄が、自分にとっての一年なのだ。その十二冊のなかに、その年の自分がいる。少なくともその痕跡くらいは、どのページにも雄弁に残っている。」(p6)

書籍詳細は東京書籍サイト

*「このエッセイを読んで、モールスキンと出会った」という人は多くいるのではないでしょうか?モレスキンファン、文房具ファンの人にはぜひ読んでほしい一冊です。

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